Ratio FSDB IV

Ratioをどのように普及させ、生活の中で生かすか
今回のセッションでは、第五版のRatioを単に一冊の文書として残すのではなく、サレジオ会員一人ひとりが実際に理解し、受け入れ、生活の中で生かしていくために、どのように普及させるかについて話し合われました。
まず強調されたのは、Ratioを「知っている」だけでは十分ではないということです。大切なのは、Ratioを各会員や共同体が受け入れ、その内容を具体的な養成、共同体生活、使命の中に落とし込んでいくことです。そのためには、単に文書を配布するだけでなく、理解しやすい形で紹介し、各共同体や管区が自分たちの現実に合わせて実践へ移していく必要があります。
Ratioの普及期間としては、現在から2031年まで、つまり現総評議会の期間が想定されています。しかし、特に重要なのは2026年から2027年の最初の一年間です。その後は管区会議や次の総会準備など、他の課題が次第に大きくなるため、この最初の一年にできるだけ多くの基礎的な普及と理解を進める必要があります。
ただし、Ratioには約600ページがあり、すべての会員が全文を詳細に理解することは現実的ではありません。そのため、理解のレベルを三つに分ける考え方が示されました。
第一は基礎レベルです。すべてのサレジオ会員がRatioの基本的な考え方を理解する必要があります。特に第1部の最初の章々、少なくとも最初の5章程度については、すべての会員がある程度親しんでおくことが望まれます。
第二は中級レベルです。これは主に院長や共同体の責任者に求められます。なぜなら、すべての院長は何らかの形で養成に関わっているからです。初期養成共同体の院長もいれば、生涯養成を担う通常共同体の院長もいます。したがって、院長は基礎的理解に加え、自分の共同体で必要な養成、同伴、生涯養成についてより深く理解する必要があります。また、初期養成の各段階にいる会員についても、それぞれの段階で何が期待されているかを知ることが大切です。修練期、修練後期、神学期など、それぞれの段階の目的と要求を本人自身が理解している必要があります。
第三は上級レベルです。これはRatio全体をより深く理解することが求められる人々です。具体的には、管区長、管区評議会、初期養成共同体の院長や養成担当者、管区養成担当者、管区養成委員会のメンバーなどです。また、地域養成センターなどで養成に関わる人々も、Ratio全体を理解する必要があります。
このように、すべての人に同じ量を求めるのではなく、役割と責任に応じた理解の深さを考えることが重要です。

次に、実際にどのようにRatioを普及させるかについて考えました。その対象として、管区長と管区評議会、管区養成担当者と養成委員会、院長たち、初期養成中の会員、生涯養成にある会員、さらにEPCやサレジオ・ファミリーなどが挙げられました。
管区長と管区評議会に対しては、Ratioが管区全体の養成方針と意思決定に関わる文書であることを理解してもらう必要があります。養成担当者と養成委員会については、Ratioを実際の計画、評価、同伴に結びつける役割があります。院長に対しては、共同体そのものが生涯養成の場であることを理解してもらう必要があります。
初期養成中の会員に対しては、それぞれの段階で自分に何が期待されているかを知ることが大切です。また、生涯養成にあるすべての会員についても、Ratioを「若い会員のための文書」と考えるのではなく、自分自身の召命生活を振り返るために使うことが求められています。
さらに、EPCやサレジオ・ファミリーに対しても、Ratioの全体を教える必要はありませんが、私たちがどのようなサレジオ会員を目指し、どのような養成を大切にしているのかを共有することは有益です。彼らは私たちと使命を共に生きる人々であるため、養成についての基本的な方向性を理解することは、共同使命を深める助けになります。
具体的な方法として、Ratioをテーマにした黙想会や静修が強く勧められました。そのための資料もすでに準備されており、Google DriveにはRatioを使った黙想会のための講話、テーマ、プランなどが用意されています。また、Ratio全体を短くまとめたCompendiumもあり、全体像をつかむために役立ちます。さらに、Hyper-Ratioのサイトには、アニメーション資料、短い動画、ポッドキャストなど、さまざまな普及用の資料があります。
したがって、各管区が一からすべてを作る必要はありません。すでに準備されている資料を活用しながら、自分たちの管区に合った形で使うことができます。
セッションでは、この後、参加者一人ひとりがまず個人的に考える時間が設けられました。問いは、「管区長と管区評議会にどのようにRatioを伝えるか」「養成担当者と養成委員会にどう生かすか」「院長たちにどう理解してもらうか」「初期養成中の会員にどう伝えるか」「生涯養成にある会員にどう生かすか」「EPCやサレジオ・ファミリーにどう紹介するか」というものでした。
その後、全体でアイデアを出し合い、多くの提案を集め、さらに休憩後には管区ごとのグループに分かれて、実際に自分たちの管区で何ができるかを具体的に計画することになりました。
今回のセッションを通して明確になったのは、Ratioの普及とは、単に冊子を配ることではないということです。
大切なのは、
知ることから理解へ、
理解から受け入れへ、
受け入れから実践へ、
そして実践から生活そのものへ
と進んでいくことです。
『Ratio』が本当に生きた文書になるためには、それぞれの会員、共同体、管区が自分たちの現実の中で読み、考え、話し合い、具体的に実践していく必要があります。
特に2026年から2027年の最初の一年は、そのための重要な出発点となります。すべてを一度に行う必要はありませんが、対象を明確にし、役割に応じた理解のレベルを設定し、黙想会、共同体会議、個人同伴、養成計画などを通して、少しずつRatioを生活の中に根づかせていくことが求められています。